東南アジアって言うけど、「南東」「東南」どっちの読み方が正しいの?
東北地方って言うけど、「北東」「東北」どっちが正解?
これは私が家相を学び始めた頃に先生にした質問です。
答えは「南東」や「北東」が正解。
「北東、南東、南西、北西」と、南北を先(頭)に持ってくるのが正しく、テストで「東南」と書くとバツになります。
しかし、「東南」や「東北」という言い方が、完全に間違っているという訳でもなく、昔の日本では東西のラインを優先した方位が使われていました。
実際に日本では「東西南北」と書きますから、東西のほうが南北よりも優先されていたのです。 ちなみに西洋では、「北南東西」の順番です。
近代になって、欧米式(西洋式)である南北のラインを優先した方位を取り入れるようになりましたが、「東南」や「東北」は、欧米式に変わる以前に使われていた、昔の言い方(旧式)になります。
なお、欧米式に変わったタイミングについては、明治時代に西洋の文明国を手本にしたという説を見つけましたが、確かな情報は得られていません。 明治維新において 「迷信が多く、科学的ではない」という理由から、東洋式の陰陽五行を封印した時代背景(脱亜論)があるのですが、八方位の変更も同じ時期に行われたかどうかは不明です。
八方位の基準とは?
八方位とは、「北・南・東・西」の四方位と、四方位の中間点「北東・南東・南西・北西」を加えた、8つの方位のことを差します。
これは欧米式であり、Northeast(北東)、Southeast(南東)、Southwest(南西)、Northwest(北西)を、そのまま漢字に変換(由来)したものになります。
- 北(North)
- 北と東の中間→北東(NorthEast)
- 東(East)
- 東と南の中間→南東(SouthEast)
- 南(South)
- 南と西の中間→南西(SouthWest)
- 西(West)
- 西と北の中間→北西(NorthWest)
東西(East,West)よりも、南北(North,South)を優先にしている欧米式が、現代の羅針方位として、ほぼ国際標準となっているようです。
気象や航海、航空などはみんなコレです。
なのでテストの正解もコレ!
「東南」や「東北」が今でも使われているのは?
とは言え、私が不動産屋に勤めていた頃、営業マンはお客様に対して「東南の角地です!」と、普通に使っていました。「東南」以外は羅針方位を使っていましたが、何故か「南東」だけは「東南」なんです!?
家相(地相)では、「東南の角地」は大吉相であり、大昔から良い土地の代名詞でしたから、今でもその頃の名残りを引きずっているものと推察します。
風水や気学でも、昔ながらの伝統を貫いている流派もあれば、羅針方位のものもあるようでまちまちですが、一般の書店に並ぶような書籍は、現代風に「北東、南東、南西、北西」に統一されている家相本・風水本が多く、「家相」や「風水」も、時代と共に変化しているように感じます。
結局、差す方位は同じですから、深くこだわらずに、どっちもアリだと思っておくと良いでしょう。
ちなみに旧日本式は、東から始まって時計回りになりますので、
- 東
- 東南
- 南
- 西南
- 西
- 西北
- 北
- 東北
の順になります。
陰陽五行では「東」は春を表す方位であり、朝日が昇る方角でもあるので、日本では(東洋では)昔から「東」が物事の始まりだったのです。
相撲の番付でも、西の横綱よりも東の横綱の方が半枚上ですし、東が西よりも格上なのです。
ちなみに「東北」の方位は、「スタートの東」と「ゴールの北」の中間になりますが、始まりと終わり…すなわち「あの世とこの世の狭間」という曖昧な場所が「鬼門」と呼ばれ、日本ではこの方位が忌み嫌われてきたのです。
江戸時代までは、このような陰陽五行思想を本気で政(まつりごと)や日常生活に使っていた日本でしたが、近代になってからは方位だけでなく、時間の表し方なども欧米式を取り入れて、陰陽五行をスパッと断ち切った訳です。
長々と書きましたが、
- 北・南のラインを優先した「北東・南東・南西・北西」が西洋式
- 西・東のラインを優先した「東南、西南、西北、東北」は東洋式
ということになります。