家相を意識したマイホームを作るには、土地や建物の「張り欠け」が重要で、「張り」とは出っ張った部分で、「欠け」とは凹んだ(欠け込み)部分のことです。
建物や敷地の「欠け」や「張り」についての2回目。張り欠けのルールをご紹介します。
- 家相の「張り」「欠け」を信じるか?
- 「張り」や「欠け」のルール ←今回はココ
- 欠け張りの吉凶
ちなみに、八方位の張り欠けの吉凶の一覧は↓の通りです。「欠け」は全方位が凶で、鬼門と裏鬼門は「張り」「欠け」どちらも凶になります。
八方位 | 方位 | 張り | 欠け |
東 | 卯 | 大吉 | 凶 |
南東 | 巽(辰巳) | 大吉 | 大凶 |
南 | 午 | 吉 | 大凶 |
南西(裏鬼門) | 坤(未申) | 凶 | 凶 注1 |
西 | 酉 | 少しなら吉 | 凶 |
北西 | 乾(戌亥) | 大吉 | 大凶 |
北 | 子 | 大吉 | 凶 |
北東(鬼門) | 艮(丑寅) | 凶 | 凶 注2 |
注1:内助の功!という意味で欠けを作ることを推奨していた時代がありましたが、妻の運が下がることがあるため、欠けも張りも作らないのが現代風であると思われます。
注2:建物にわざと欠けを作ること(鬼門封じ)を行っていた時代もあり。(京都御所など)
参考記事 「張け・張り」の吉凶 を詳しく知りたい方は、家相の八方位の「張け」「張り」の吉凶 へどうぞ。
目次
北西の欠けには特に注意!
私が不動産会社で働いていた頃の話ですが、築浅で売りに出される中古物件は家相が悪いこと多く、玄関が鬼門や裏鬼門に掛かっていたり、”主人の方位”である北西が欠けているものが目につきました。
「欠け」はどの方位にあっても凶ですが、特に北西の欠けは、その家の主人の力を奪い、家が衰退しますから、私の経験上、建物に北西の欠けは作らない方がいいと思っています。(北西の欠け+北入り玄関は一家離散になりやすいので注意です)
土地の場合でも、この方位に欠けがあることはマイナスとなります。 できるだけ凹凸のない矩形(四角形)の土地を買い求めるようにしましょう。
南北に長い長方形が最も良く、次に東西に長いものが良いです。正方形の土地は、宗教施設などには良いですが、宅地としてはそぐわないと言われています。
しかし、気に入った土地が、必ずしも矩形とは限りません。 敷地に「欠け」がある場合、建物に「張り」を設けることでカバーできる場合があるのですが、どの方位でも構わずに張りを設けさえすればOKかというとそうではありません。
「張り」の数にも制限があります。
また、「張りを設けたつもりが、逆に欠けを作ってしまった…」という、間違った「欠け」や「張り」を作らないように、張り欠けのルールを理解してください。
1.「張り」と「欠け」の違いとルール
家相の基本は、「張りは吉」で「欠けは凶」になります。 建物の「張り・欠け」の意味も、土地の意味とほぼ同じです。
普通に考えると、欠けと張りは 相対的 なものであり、「張り」を作ると、必ず「欠け」も生まれるのですが、張り欠けの判断には一応のルールが存在します。
- 1辺の長さの、1/3までの出っ張りは「張り」。
- 逆に、1辺の長さの1/3以上が出っ張っていると「欠け」が出来てしまいます。(1辺の長さの2/3以内の引き込みとも言います。)
よって、「張り」を設ける時は、「欠け」を作らないように、一辺の幅の1/3までの幅に抑える必要があります。
【例1】このような形の敷地や建物は、 出っ張った部分が「一辺の長さの1/3まで」の範囲を超えているので、反対側の「欠け」になります。
【例2】このような敷地や建物は、出っ張っている部分が「一辺の長さの1/3まで」の範囲に収まっているので「張り」になります 。
【例3】張り出しの奥行きの幅も1/3までを限度としますので、このような敷地や建物は、幅は1/3未満であっても「張り」にはなりません。 (「張り」とする説もあります)
【例4】1辺に2ヶ所以上の張りを設けると、「張り」と「張り」の間は「欠け」となってしまうため、「張り」は1辺につき1ヶ所限りとします。
2.巽張り・乾張り・複合張り(複合相)
巽張りと乾張りは吉
「張り」の中でも、巽張り(たつみばり)と乾張り(いぬいばり)は、特に縁起の良いものとされて来ました。
- 乾張り(いぬいばり) :北西=乾(いぬい)方向の張りのこと。乾は「戌亥」とも書きます
- 巽張り(たつみばり) :東南=巽(たつみ)方位の張りのこと。巽は 「辰巳」とも書きます
複合張り・複合相は吉
建物に張りを2ヶ所設けることを「複合張り」や「複合相」と呼び、昔から吉相とされてきました。
北西または東南のどちらかに「張り」を設け、更にもう1ヶ所、吉方位に張りを設けた建物は、大吉相になります。2ヶ所張ることで更なる吉相になって、家が栄え、金銭的にも恵まれます。
※巽と乾の両方を出すのは大吉という説と、大凶という説があります
「張り」のサイズや数のルール
では「張りは大きければ大きいほどばよいのか?」と言うとそうではなく、大張りは控えて、やや張るという程度が望ましいようです。
張りを2ヶ所設ける場合は、両方の張りは同じくらいの大きさにして、バランスが崩れないようにしましょう。家相では調和も大切な要素なのです。
3ヶ所以上の張りも凶を招きますので、欲張ってたくさん設けないでください。
張りがNGな方位もありますので、張りを作る位置は、「八方位の欠けと張りの吉凶」を参考にしてください
3.2階部分、3階部分…は張り・欠けを見ない
昨今の住宅は2階建てが当たり前で、一般の住宅でも3階建て・4階建ても出てきましたが、家の形状(構え)を判断するのは1階部分のみになります。
家相が確立された時代は、2階建ての家はほとんどなく、厳密な2階のルールは存在しないのだそうで、今ある2階のルールのほとんどは後の時代に付け足されたものなのだとか。(小屋裏への梯子(はしご)はあったので、階段のルールは昔から存在したそう)
何故わざわざ付け足して難しくしたのか意味が分かりませんが、張り・欠けに関しては1階のみで判断して、2階はほぼ無視で問題ないですから、家相を気にして総二階建てにする必要はございません。( 1階よりも2階部分がせり出したオーバーハング構造は欠けになります。)
2階の面積を減らして引き込みを作り、上手く下屋を作って表情が出るようにするなど、家相にこだわってもおしゃれな家に暮らせるよう、設計士さんとよく相談してください。
ちなみに、欠け張りは平面だけでなく立体で判断するため「2階の家相も見る!」という説も存在しますが、どれを信じるかは人それぞれです。
また、1Fが店舗で2Fが住宅という店舗併用住宅や、アパート・マンションの家相についても厳密なルールなどないわけですから、家相を当てはめることには無理がありますが、気になる方は住居スペースで判断して差し支えないと思います。(エントランス玄関は吉方位が望ましい)
※1階の一部を店舗で貸しているような店舗併用住宅の場合は、店舗部分は「欠け」と見るようですが、こちらも家相を当てはめるのは難しいと思います。
4.家相では吹き抜けは凶
家相では吹き抜けは凶です。
2階部分に欠けが出来るので凶という説もありますが、それよりも、良い気が漏れやすいためというのが理由だと私は解釈しています。
家相が出来た時代に、吹き抜けの技術があったのかどうかは不明ですが、光が入らない部屋に、屋根裏の窓の光を室内に取り入れるために、天井面を漏斗(じょうご)型にして光を取り入れる、漏斗窓(じょうごまど・ろうとまど)は存在したようです。 (水を瓶などに移す時に使う”あさがお”の花のような形をした器具を逆にして使うイメージ)
この漏斗窓の吉凶を、そのまま現代の吹き抜けの吉凶に応用しているのだと思われますが、とにかく家相では天窓(トップライト)や天井付近から光を取り入れる手法は凶と見るようです。
5.家相ではインナーガレージは凶
インナーガレージ(ビルトインガレージ)も、家相では凶だと言われています。
家相にインナーガレージに関するルールなどあるはずもなく、厩(うまや)のルールを車に当てはめるのも違う気がします。
インナーガレージがなぜ凶なのか?については、こちらも1階部分の「欠け」に該当することと、排気ガスを排出する自動車を住まいの中(下)に置くことは不浄ということで凶なのではないかと私は解釈しています。
また、インナーガレージと近いもので、「キャンティレバー」や「オーバーハング」と呼ばれる、1階より2階部分を出っ張らせて、玄関ポーチやテラスの屋根にするような構造も欠けになります。
6.出窓は「張り」にならない
住宅メーカーの家は、工法の問題などで希望の場所に「張り」が作れない場合があります。 そんな時に出窓は便利そうなアイテムに感じますが、出窓は張り出しにはなりません。
基本的に地面に接していないものは張りとは呼ばないようなので、基礎工事が施されているサンルームであれば張りになるようです。
サンルームは、L字状や凹状の欠けがある家の家相リフォームにも有効な方法です。(家相にこだわるなら、L字や凹凸型などの複雑な構えの家は諦めてください)
他にもデッキやテラス、玄関ポーチも張りにはなりません。 基礎があっても、屋根や囲いがないものも「構え」の中には入らないからです。
ただ… どうやっても張り出しが作れない場合に、出窓やテラス、ふかし壁や装飾の出っ張りを設けることで、心理的に安心できることがありますから、たとえ「気休め」と言われようが決して侮れない…と個人的には考えております。